特集「カビ」

特集「カビ」

 


結露⇒カビ⇒ダニ 連鎖の悪循環を断ち切るために

ホームページを開いて以来、カビ対策で新聞、テレビ等で採り上げられることが何回かありました。今回、リニューアルに伴い、まとめました。

[概論]

 あるPR誌に取材を受け、掲載されたものです。私の言いたいことを要領よくまとめていただきました。


 冬の朝、カーテンを開けると…。窓ガラス一面がびっしょり濡れていて、窓辺に敷いたタオルも絞れるほど!〜というように、結露で悩まされている方も多いことでしょう。結露の発生場所にはカビも発生。この状況がダニも呼び寄せるとか。これはどうやら、快適に過ごすための住宅の気密化と関係がありそうです。そこで、「まずは敵を知ること」からスタートしたいと、住まいの衛生指導に携わる保健所技師の湯浅典久さんに、カビ・ダニと住まいのかかわりについてお聞きしました。

知っているようで、案外知らないカビとダニ。その正体を教えてください。

 カビ・ダニも、ずっと昔からいるものなんですね。海外で、数億年前のダニの化石が発見されたという報告もありますから。カビの歴史も人類より長く、いわば人間とカビ・ダニは共生してきたといえるでしょう。それが、住宅や暮らし方の変化によって共生のバランスがくずれ、健康被害などの問題が起こってきました。まず、カビについてですが、正式名は真菌といいます。キノコや、醤油・味噌・清酒に使われる酵母などの発酵を行うカビ、風呂場や台所などに発生するカビ、食品に発生して中毒を起こすカビなど、みな同じ仲間です。  一方ダニは、虫ではなくクモの仲間、”虫じゃないけれど蒸し蒸し状態が好き”なんです。(笑)よく見ると肉眼で見えますよ。でも、あまり気にして凝視すると、何でもダニに見えてしまいますから気をつけてくださいね。大きさは、ダニは200〜500ミクロン(注:1ミクロン=10−3mm)、カビの胞子は20ミクロンとずっと小さい。ダニのフンは約5ミクロンとさらに小さいので、吸い込むと肺まで入ってしまいます。

カビもダニも好む環境は似ていますか?

 ほとんど同じです。ダニの好きな温度は25〜28℃、湿度は65〜85%、カビは温度20〜30℃、湿度70%以上、どちらも高温多湿の環境が好きです。冬場、結露でお困りの方も多いでしょうが、結露はカビを呼び、カビはダニを呼びます。これらは以前、梅雨時や夏場が中心でしたが、近頃は、住宅の気密化や暖房の普及により冬場が問題となっています。

結露のメカニズムというと?

  カビやダニの一番の元は結露です。そこで、冬場の結露を防ぐには、室内の湿度をコントロールすることが基本。結露は、温度差と空気中の水蒸気に関係します。温度が高いと空気中に保有できる水蒸気量が多く、温度が低くなると保有量が小さくなります。気温の低い冬場は水蒸気の保有量が小さいですから、空気中に含みきれない水蒸気が結露になるのです。また、水蒸気の大きさは10万分の4oと小さく圧力があるので、障子や襖・壁・木質のドアなどを通過します。ですから、部屋を閉め切っていても、別の部屋へと移動するのはたやすいこと。冬場は乾燥していると思いがちですが、石油ストーブやファンヒーターなどの室内で燃焼する開放型暖房機は、二酸化炭素や水蒸気が発生します。以前は、ストーブにヤカンを乗せてお湯を沸かす光景が見られましたが、室内に水蒸気を余計発生させることになるのですよ。燃焼型暖房機を使う場合は、室内の酸素不足を防ぐと同時に水蒸気を排出するため、こまめな換気を心がけてください。

なぜ、カビ・ダニとの共生バランスがくずれ、悪循環となってしまったのでしょうか?

 暮らし方の変化と、住宅の構造上の変化という2つの側面があります。戦後、住宅の洋風化が進み、60年代にアルミサッシが登場すると、急速に住宅の気密化が高まってきました。”夏を旨とすべし”という開放型住宅から、夏冬快適に過ごせる閉鎖型住宅への大変革。しかし、すきま風が当たり前だっと頃と異なり、自然換気はできません。住宅は変化したのに住まい手の意識が伴わず、住まい方は従来のままという状況が生まれました。つまり、なかなか積極的な換気行動がとれないといった意識のギャップが、ダニ・カビ・結露問題の根底にあるといえるでしょう。人間にとっての快適環境はダニにとっても好環境というわけで、その被害がクローズアップされています。環境の変化によりダニの種類も変わり、人を刺すツメダニ、血を吸うイエダニから、最近はアレルギー症の原因となるチリダニ(ヒョウヒダニ)が80%前後を占めています。一説には、戦前の3倍以上も増えたとか。人間の抵抗力の低下も、アレルギー症疾患を増やしているようです。

予防と対策は?

 現代になって、住宅内に増えたものが、3つあるといわれています。1つは湿気、2つ目にはホコリ、3つ目は化学物質です。オマケにモノも増えました。これはもうカビやダニの温床ですよね。対策としては、まず室内の温度差をつくらず、水蒸気の発生量を少なくして、発生した分は速やかに排出します。次に、結露・カビ・ダニの発生場所を点検し、こまめに掃除をしましょう。いずれにしても、掃除と換気が最大の予防と解決策。習慣化すればそんなに負担にならないでしょう。  そして、ぜひとも各家庭に温度計と湿度計を備え、わが家の室内の状況をしっかり把握することが大事です。                                                                      (「中津川の風だより」2002年冬号)


[各論]

「室内のダニ・カビ・結露対策」というテーマで講師を引き受けた講習会の主な話です。

@主なダニ

ヒョウヒダニは、普通チリダニと呼ばれています。室内のダニの中で最も数の多いダニです。ホコリの中に含まれるフケ等を食べています。このヒョウヒダニの死がいやフンがアレルゲンとなり、気管支ぜん息やアレルギー性 皮膚炎の原因となります。
次に、ツメダニはヒョウヒダニ等をエサにして生活している。数が増えると刺されたり、かゆみを起こします。以前には、新築後2〜3年を経過した住宅の畳などに大発生したことがありました。現在では、保健所に寄せられる相談件数は激減しています。これは、畳が化学田畳などワラ床でなくなったことが原因と言われています。
イエダニは、ネズミに寄生するダニです。春秋の発生のピーク時には、ネズミの巣から離れ、人に移り、吸血して、しつこいかゆみの被害を起こします。ヒョウヒダニ、ツメダニの大きさが0.3mm前後に対して、イエダニは0.5〜1.0mmと目で見える大きさです。ツメダニのひがいが手足等の外に出ている部分に対して、イエダニは衣服の中のお腹や脇などに被害を受けます。皮膚の柔らかい子供や女性に被害が多いため、「エロダニ」と言われています。
最後に、結露と関連する「イエニクダニ」をお話します。15℃前後の温度を好み、他のダニ類と比較すると低い温度で繁殖が可能なダニです。湿気で変質した食品などや、家具,畳などで発生することが多い。冬期に,結露により壁面にカビが生えた場所などで発生することもあります。

A住宅内に見るカビ
室内で見られるカビは、風呂場・洗面所・台所など直接水に濡れる場所を好むカビと比較的乾燥した場所を好むカビに分けられます。湿気を好むカビはクロカビ、ススカビなど、乾燥を好むカビはアオカビ、コウジカビなどです。
クロカビは、浴室で見られる代表的なカビです。コウジカビは、天井の隅などで見られ、酒・味噌・醤油などの発酵食品に利用されているカビです。エアコンが頻繁に使用される2月、8月にエアコンからコウジカビが多く検出されます。
アオカビは、壁クロス・家具の裏面に見つかるカビです。このカビから抗生物質(ペニシリン)が発見されました。古くなった食パンによく出てくるカビですね。

B結露は、どうして発生するのか
結露とは、空気中の水蒸気が温度の低い壁面や窓ガラスに触れた時に水滴となって付着する現象を言います。温度が高ければ高いほど、水蒸気が入るコップが大きくなり、多くの水蒸気を空気中に蓄えることができます。しかし、温度が低くなると水蒸気のコップが小さくなって、超えた部分の水蒸気が水滴となって結露が発生します。
冬期に一番気温が低くなる早朝に結露するのは、このためです。しかし、日中温度が上がると、結露が消えるのは、なくなったわけではなく、水蒸気が空気中に潜んでいるですね。
室内の中ででは、人間が水蒸気の発生源と言われています。就寝時には、一晩で牛乳ビン2本もの水蒸気が発生します。また、石油ストーブ等の燃焼暖房器具は、燃焼によりたくさんの水蒸気が発生します。石油1リットルが完全燃焼すると1リットルの水になると言われています。
水蒸気は気体で、水の7000分の1の大きさのためどこにでももぐり込んでいきます。従って、結露するのは暖房した部屋ではなく、水蒸気(湿気)が壁等を通過して、非暖房室の温度の低いところに触れて発生するのです。

Cカビの点検ポイント

 カビは、温度(20〜30度)・湿度(75%以上)・栄養分の条件が整うと増殖します。空気中には カビの胞子がいつも浮遊していますので、条件が整えば家の中のたいていのところで発生できますが、特に水にぬれやすく、よごれやすいところ、同じ室内でも空気がよどみ、比較的低温になり湿りやすいところは注意が必要です。これからの季節はカビの発生しやすい時期ですので、次の場所を点検してみましょう。

[ぬれやすく、汚れやすいところ]〜流し台の近く・洗面所・風呂場など
 調理の時に飛んだ惣菜や汁、あるいは石鹸カスや人のアカなどの有機物はカビの栄養源になるので、ぬ れた状態が長いほどカビが繁殖します。タイル、石、ステンレスの上でもわずかな汚れと水があればカビが発 生します。

[結露しやすいところ、冷えやすいところ]〜窓・外壁に接しているところなど
 窓は冬には暖められた空気が冷たいガラスの内面で急に冷やされ結露ができ、夏は温度が高く湿り気も多 く、ほんの少し温度が低いところがあるとすぐに結露します。そのままにしておくとガラスを抑えるビード (軟質塩化ビニ−ル)を黒く汚染します。 また、北側の外壁に面した壁や隅の部分は温度が低く湿度が高くカビが発生しやすい。

[空気のよどみ場所]〜押入れ・納戸・家具裏・留守宅など
 カビは環境が一定の状態のところでよく育ちます。閉めきったところや家具の裏などは空気が動かず、環 境の変化が少なくなっています。そしてこのようなところは比較的低温になり湿りやすいので、カビにとっ てはよい住みかとなります。

[湿気の多いところ]〜室内の洗濯物干し、加湿器の使い過ぎなど
 カビの生長には水分が必要ですが、水分は液体でなくても湿気(水蒸気)があればよいので、水蒸気が多 いほどカビがよく発生します。また、新築直後の集合住宅ではコンクリートが十分乾いていないので水蒸気 の発生量が多くなっています。また1階も地面からの湿気が上がってくるので、高い階よりカビが生えやす い。  カビの発生条件から見れば、人が暮らす温湿度条件ではカビも生活できますので、カビの発生を抑えるに は室内の水分や湿気をコントロールすることが基本になります。こまめに換気扇の使用し、浴室の壁や窓の 水滴(結露)をふき取りましょう。

Dカビの予防法
ポイントは、下記の「場所別カビ対策」をご覧ください。
浴室は、「カビの楽園」と言われています。栄養分となる石けんカスを取り除くこと。入浴後に温水シャワーで洗い流し、タオルなどで水滴をふき取ること。その後に換気扇等で湿気を外に出すことです。それでは、誰がそれをするのかという話になりますね。一番最後に風呂にお入りになる奥様になることが多いでしょうか。
最近、「NHKためしてガッテン」で「昼間ふくだけカビ殺し」が興味深かったですね。カビは生えて3日目までなら、うっすら表面に付着しているだけで、軽くふけば落ちる。昼間に3日に一度濡れたところを吹くだけで効果があるそうです。
ふとんを収納する押入れの予防は、空気の流れをよくすることです。押入れ内にふとんを一杯入れないこと。スノコを縦(壁)、横(床)に敷いて、空気の通り道を作ることです。ふとんは、一晩で牛乳びん2本分の汗を吸っているんですよ。
エアコンは、便利なものですが、「カビの発生源」にもなります。フィルターなどは、定期(月1回以上)にの清掃しましょう。 エアコンの使い始めは、窓を開けて10分程度送風運転をしてください。止める時も同様に送風運転してから切りましょう。
次に、台所は、「カビにとっても食料庫」です。食べ物カスや汁は、掃除しましょう。換気扇は、調理時だけでなく、炊飯・水洗いの時も回してください。
家具・寝室の予防です。家具の裏側は空気が通りにくく、空気が乾燥しにくい場所です。家具と壁面は5p以上開けて風の通り道を作りましょう。窓ガラスの結露は、小まめにふき取るだけで結露対策になります。寝室は、暖房を止めた後と就寝前の換気を忘れずに。就寝前に5分間程度風を通すことは、朝方の結露なくすためにも効果的です。

Eカビが発生したら
水で洗い流せるところ・水ふきできるところ・水を使えないところの3つの場合に分けてカビ対策を行ってください。
風呂場など水で洗い流せるところは、塩素系の漂白剤が効果的です。汚れのひどい部分は、歯ブラシなどで軽くこすった方が落ちます。 塩素系の漂白剤と酸性タイプの洗浄剤を同時に使うと塩素ガスが発生して危険です。ご注意願います。
水ふきできるところは、漂白剤などを薄めた液でふくか、布に消毒用アルコールをしみ込ませてふくと良いでしょう。
水を使えない壁や天井、押入れなどは、漂白剤やカビ取り剤を薄めた液でぞうきんを湿らせてふきます。その後に、消毒用アルコールをしみ込ませてふきます。壁紙の裏側は、壁紙をはがし、下地から殺菌消毒します。面積が広いときは防カビ専門業者に依頼してください。

最後に、人間は温度には敏感ですが、湿度には鈍感のようです。室内には湿度計を設置して、湿度を確認する習慣にしましょう。

 


場所別カビ対策

場所 結露発生の原因 対    策 季 節
台 所 ガスが燃焼すると水蒸気が出る。また、湯を使うだけ でも水蒸気が出る。発生源近くですぐ排出する。 水蒸気が他の居室に広がらないよう、調理時、炊飯時、 皿洗い時は換気扇を回す。
また、使用後もしばらく回す。
通年
浴 室 短時間であるが最も大量の水蒸気の発生源。浴室の壁 ・床・天井は防湿構造になっていて、意識的に排出しないといつまでもこもる。 入浴後換気扇を回すか、窓を開ける。防犯上危険な時 は夜間に換気扇を回し、昼間窓を開放。換気扇のみでは翌日まで回す。
浴槽水は使用後すぐに排水する。
浴室の扉は開放しない。
通年
寝 室 人の水蒸気発生量も大きく、夜間温度の低下により窓 ガラスが結露することがある。 就寝前の5分程度の窓開けによる換気で結露が軽減さ れる。
ベッドは壁から5p程度離す。
冬期
暖房器具を使用する部屋 石油ストーブなど開放型のストーブは、発熱と同時に 水蒸気を放出する。 やかんをのせたり、加湿器を併用しない。
こまめに換気を行い、新鮮外気の取り入れとともに湿度を下げる。
エアコン、床暖房、パネルヒーターなど水蒸気を発生しない暖房器具、煙突のついたストーブが有効である。
冬期
暖房室と隣り合った非暖房室 ストーブなどから発生した水蒸気は、非暖房室にも拡 散し、結露の原因になる。 なるべく広く暖房し、温度差をなくす。
非暖房室への水蒸気の流入を抑える。また、水蒸気を発生しない暖房機の使用が有効である。
冬期
梅雨時の居室 戸外も室内の温湿度が高く、ちょっとした水蒸気の発 生で結露しやすい。 クーラーの使用による除湿が有効である。
温度が低く湿度が高い時は除湿器が有効である。
梅雨
押入・収納庫 北側や日光のあたらない家屋の中央部に設置されるこ とが多く、温度が低く、通風も悪く、高湿度になりやすい。(特に外壁に面した北側の押入) 収納部品を外壁より数p離し、一杯収納しない。また、床にスノコを敷き、通風を良くする。        夜間、ふすまを開けておくのも有効である。押入のある部屋での暖房は水蒸気の発生の少ない電気式・密閉式が適している。 冬期
家具の裏 空気がよどみ、温度が低く、裏面の壁は結露しやすい。北側や東・西側の外壁に面した壁に沿って家具を置くときは注意が必要である。 裏側と壁の間を5pぐらい開け、スノコを敷いて床から2p以上開けると空気が通りやすくなる。 通年
ガラス窓 室内側で表面温度が一番低く、冬期の結露防止は通常難しい。 雨戸をつけたり、複層ガラスを用いることにより、、ガ ラス内側面の温度低下を防ぐ。
結露した時は、こまめにふき取るのが最適である。暖房器具を窓側に置く。また、窓が曇りだしたら換気を行う。
冬期
梅雨
カーテンや内側の紙障子 熱は伝えにくいが水蒸気は通りやすく、低温の窓ガラ スの間で結露が激しくなりやすい。 カーテンなどはこまめに開閉し、空気のよどみをなく す。
濡れた窓はこまめにふき取る。
冬期
室内での洗濯物干し 室内に濡れたものを干すと、家の中の湿度が高くなり 結露の原因となる。 室内に干さないのが原則だが、どうしても干す時は、 浴室の窓を開け、入口の扉を閉めて浴室に干す。
閉め切った浴室に除湿器または除湿器付き乾燥機を置いて干す。
冬期
雨天
共働きで留守がちの部屋 朝食や夜の食事で発生した水蒸気を閉じこめたまま、 外出・就寝することが多く、結露しやすい。 昼一日中換気扇を回しておくか、帰宅後各室の窓を10 分ぐらい開け、外気を入れる。
外出時、除湿器をつけておく。
通年