市民から頼りにされる保健所へ
「健康でありたい、すこやかに老いたい」は市民の共通した願いです。健康を阻害している要因をいかに減らしていくか、市民に、地域に、行政に働きかけていくのが保健所の普遍的なテーマです。
しかし、健康を総合的に守ってきた保健所は、質量とも全国的にバラバラにされたり、なくなったりすることが明らかになってきています。今回は、保健所についてお話します。
1 保健所は
国は「社会防衛的な感染症対策は終わった」「母子保健などは身近な市町村へ」「保健所を統廃合して機能強化を」等の理由で、保健所の統廃合や保健と福祉との「統合」などを進めてきました。その結果、保健所の数は、1996年の地域保健法施行前の845ヶ所から2004年5月には一気に566ヶ所へと減り続けています。しかも、保健所という名称も「保健福祉事務所」、「福祉保健センター」等の名称に次々と変えられ、保健所の姿が住民からますます見えにくい状況になっています。
鳥インフルエンザ騒動の時、「お問合せは、お近くの保健所へ」と国は広報しましたが、問い合わせる保健所が見つからなかったということがありました。この例が、現在の事態を象徴しています。
名古屋市の保健所は、2000年から区役所組織に編入されましたが、1区1保健所体制を堅持しています。今後とも市民から信頼される保健所となる政策づくりに取り組むことが求められています。
2 保健所の仕事
こうした保健所の情勢の中で、保健所は、どんな仕事をしていくべきでしょうか?93年に名古屋市職労えいせい支部で作成した白書「市民の健康と環境」では、それ以前の「10年間の業務の変化」と「今後の課題」をまとめました。私の担当する特に環境衛生分野では、「今後の課題」として(1)総合相談窓口の機能、(2)住宅の建築確認時の事前指導、(3)共同住宅入居者への普及啓発、(4)ダニアレルギー施策の充実、(5)他職種との連携強化と総合的な体制づくり でした。この中でダニアレルギー対策については、ダニアレルゲン測定ができるシステムが稼動しています。それ以外の課題については、まだ実現していません。
保健所の存在意義は、住民の近いところにあって、他職種の専門家が揃っていて総合的な相談に乗れることです。今回、作成された「市民白書(公衆衛生)」では、これからの保健所のあり方を提言しています。
(1)保健所を一層「人の集まる場所にする」、(2)行政区の特性に合わせた区ごとの保健計画の作成、(3)働いている人も利用できる保健所に、(4)保健所の多様な職員の総合性を有機的に活用 の4点です。保健所は、市民が利用しやすい保健サービスの提供や科学的に裏付けられた健康情報を提供することが求められています。