アタマジラミの話

 夏になると、プールでアタマジラミが移ったという相談が時々来る。その時には、「プール水中で移ることは可能性はない。それ以前の着替え等で移ることは考えられる」と答えている。以下、国立感染症研究所・富田隆史先生のお話を紹介します。


1981年駆除薬のスミスリンパウダーの発売された。製薬会社が2007年に駆除剤の出荷数からアタマジラミの罹患者数を約50万人と推測した。

・アタマジラミは頭髪の中でしか生きられない昆虫である。生虫を頭から取り出すと、1〜2日で餓死してしまう。頭同士の直接接触で感染する。プールでは、水中で移ることはまずない。数を数えてアタマジラミを頭髪中に放し、20分ほど泳いだ後にその数を数えたところ、まったく同じだったという実験結果もある。

・わが国でヒトジラミ駆除用に認可されている薬剤は、スミスリンパウダー(1981年発売)とシャンプー(1998年発売)のみである。いずれもピレスロイド系の有効成分であるフェノトリン(商品名スミスリン)を0.4%含む。

・薬剤抵抗性の調査では、抵抗性コロニーの割合は、2006年は4.8%、20076.2%、200814.1%と3年間で約3倍に増えていた。欧米の状況(アメリカ、デンマークでは90%以上がピレスロイド抵抗性)などを考え合わせると、日本でも油断できない。

・駆除効果が満足に得られずに抵抗性の存在が疑われる場合に、迅速に対応するためにシラミ専用のすき櫛を貸し出せるようにすることが望ましい。

・イギリス等では、従来の神経毒作用のある殺虫剤成分と異なり、化粧品に広く使われているジメチコンとミスチリン酸イソプロピルを、それぞれ有効成分として含む駆除剤が開発されている。

(08年2月、ペストコントロールフォーラムにて)