皆さんが利用されている美容院について、今回はお話します。美容院は、美容師法 という法律に基づいて、営業する人は保健所の許可(正式には確認)が必要です。
また、美容は美容師しかできません。ただし、インターン(見習い)の人は、美容師 の指導の下には美容ができます。したがって、美容院の中には、普通、許可証(確認済 証)と免許証が掲示されているはずです。免許証には、本籍、名前、生年月日が書い てありますのでよく見て下さい。というのは冗談で、美容師の方々は、あまり免許証 をジロジロ見られるのは嫌がります。なぜかというと、年がわかるからです。私ども が仕事で行くと、年を隠すため、涙ぐましい努力をしているケースがあります。(白 紙を貼ったり、何人か分をずらして隠す等々)
*美容院(法律上は美容所)には、施設基準や衛生基準が定められています。
主なものだけを紹介すると、
@皮膚に接する布片は、客一人ごとにこれを取りかえ、皮膚に接する器具は、客一人 ごとに消毒すること。
A作業所の床面積は13u以上であること。作業所に置くことができる美容椅子の数 はその床面積13uの場合は、2台までとし、その床面積が13uをこえる場合は、 そのこえる部分の床面積3uにつき1台を増やすことができる。(愛知県の基準で、 他の都道府県は異なる)
B作業面の照度が100ルクス以上に保持できる構造であること。
皆さんが、美容院のセット椅子に座った時、美容師さんは、ハサミ・クシはどこか ら出してくるか、こそっと見て下さい。多分、作業衣のポケットか、近くのワゴンか らではないでしょうか?その器具は、間違いなく消毒されていません。
Aの文章、理解できましたか?法律の文章は日常の文章と違いますね。セット椅子 が3台だと16u、4台は19u以上という基準です。
*美容院と理容所の違いがわかりますか?
法律では、美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美 しくすることをいう」と規定してしています。一方、理容とは「頭髪の刈込、顔そり 等の方法により容姿を整えることをいう」と規定しています。またまた、理解しにく い文章ですね。本来、美容はパーマ、理容は調髪、顔そりでしたが理容業界・美容業 界の調整があり、守備範囲ができました。現在では、理容所でも男性仕上げパーマー は可能となり、美容院でもカットは可能となりました。しかし、一つの施設を兼用し て理容・美容を一緒に行うことはできません。
*美容院卒中症候群って、ご存じですか?
〜読売新聞(97.12.2)によると、美容院で洗髪中などに頭痛や手足のしびれといった脳 血管障害の症状を引き起こす原因不明の「美容院卒中症候群」が近年、目立っている という。水戸市内の脳外科「志村病院」の志村先生の調査で、あおむけで首を反らす洗 髪中の姿勢が原因と突き止めたと報道。志村院長は、「頭を後ろに大きく反らして首 が左右に揺すられるような洗い方だと発症しやすい。洗い方に注意してほしい」と話 している。〜
女性は、あお向けで後ろに倒れる洗髪が当たり前と思っておられるでしょうが、男 性は理容所に行くと、反対に前洗面といって座ったイスのまま前にかがんで洗髪をし ます。
しかし、顔そりの場合、イスが倒れて、あお向けになります。作業が違っているんで すね。そのため、理容所のイスは後ろに倒れるため、美容イスより広い面積が必要で す。従って、基準は、先ほどの1台増すごとの面積が4uになっています。
今、話題になっている「カリスマ美容師」は無免許で問題となりました。 この人の場合、実地修練生(インタ−ン)といって、資格を持った美容師の指導の 下でなければ美容を行うことができません。従って、単独にお客さんにパーマをかけ たり、カットはできないのです。
今、カリスマ氏は学科を一生懸命勉強して受験するつもりのようです。果たして、 結果はどうなったのでしょうか。昔は、女性は美容院、男性は理容店というのが一般的でしたが、今は反対のようで す。美容院に行く男性が増えており、理容店に行く女性が増えています。女性が理容 店に行く目的は、うぶ毛を剃ってもらうためです。それでは、婚礼の前に式場の美容 師が花嫁のうなじを剃ったり、眉を整えたりするのは違法なのでしょうか。顔そりが 主たる目的ではなく、美容に付随する場合は認められているのが実情です。単独で顔 剃りを美容院で行うことは認められていないのです。一方、理容店で女性に対してパ ーマをかけることは認められていません。
よく、理容店の経営者の奥さんが美容師の免許を持っているので、美容も一緒にや りたいという質問があります。現行の法律では、一カ所で理容も美容もおこなうこと は禁じられています。
しかし、私たち監視員からいっても、学校で技術を習得すれば両方できるよう法律 が改正されればいいのになあというのが本音です。結局は業界同士の客の取り合いと いう面は否定できません。保健所サイドから言えば、器具の消毒等衛生的に問題がな ければいいのです。
ある雑誌の記事の中で、−理容師・美容師ではなく、「スタイリストの時代」と言 われています。これからは、家族揃ってひとつの「ヘアサロン」に行く時代になるか もしれません。−と書いてありました。どうなっていくのか、注目していきたいと思 っています。