Invisible (これは一応フィクションです) ------------------------------------------------------------ 「私が地球に帰ってきたとき気付いたのは重力があることです。」 「物が落ちる様子がまるで何かに引っぱられているようでした。」 ------------------------------------------------------------ 「見えない力ってあると思いますか。」 「そりゃあるさ。重力だろ、磁力だろ、電気も見えないし。」 「そういう意味ではなくてですね。」 「もちろんジョークだよ。幽霊みたいなもののことだね。」 「そう、そういうものです。超能力とか。」 「僕はほとんど信じないね。」 「ほとんどですか?」 「別にあってもなくてもどっちでも良い。もしあったとしても科学  的に観測できなければないのと同じ。」 「"世の中科学では説明できないことがある"って言ってる人と同じ  発言に聞こえますけど。」 「僕は認識できるかどうかの違いだと思うよ。ある宇宙飛行士は地  球に帰ってきたとき"重力が見える"と言ったそうだ。しばらくし  たらわからなくなったそうだけれど。何か色が付いて見えたとか  そういうわけではないよね。でもまるで普通には見えない重力の  存在を感じたということだと思う。」 「見えない力がその人には現実として見えたということですね。」 「そこにあるのは想像だろうね。赤い糸とか言うし、視線なんて言  葉もある。これは見えないものなのにそこにラインが見えるよう  に表現して、想像できるものに変換しているとも言える。本当は  目に見えるものでも想像なのだろうね。」 「現実なんてなくて想像しかないということになりません?」 「その通りだと思う。現実なんて存在しないのだろうね。あくまで  外の世界、現実を自分というフィルタを通して想像しているだけ。  だから認識できなければ想像できない、だから信じないと言った。」 「ほとんどをつけたのはどうしてですか?」 「そういうものが見えたという人がいるからだね。その人々には充  分想像できること、存在することなのだろう。人はそれぞれに想  像の世界があって全部バラバラで同じということはないはずだ。  例えば僕が試験管に二つの無色透明の液体を入れて混ぜる。試験  管をふって混ぜるわけだけれど、そのとき君には二つの液体がど  れくらいちゃんと混ざっているかわかるかい?」 「わかりません。」 「僕にはわかると言ったら信じられるだろうか。目に見えるという  わけではなくて経験的にどれくらい混ざったかが想像できる。こ  れは技術的に伝達できるものだと思う。そうすれば君にも想像で  きるようになるだろうね。」 「今度教えていただけますか。」 「まぁ考えておくよ。でも目に見えないものが見えると主張する人  の場合は見えない人に伝達できるものなのだろうか。もしできる  なら僕は信じないという言葉を撤回するよ。僕が混ざり具合を想  像できることが信用されないのと同じように、見えないものが見  えるということは信じられない。ただしあると主張している人が  いるからほとんどをつけている。」 「なんかはぐらかされている気がしますけれど。」 「じゃぁ宿題。君は目に見えない力と言ったけれど物理的に観測で  きる力で本当に直接見える力を探してごらん。」 「電力は電球とかで初めて見えるわけだし、重力も落ちるところを  見てるだけだし・・・うーん。」 「じゃ、そういうことで。」