「イマジナルディスク」 ------------------------------------------------------------ 変態には二通りある それは完全なのものと不完全なのものだ -とある無名な生物学者のことば- ------------------------------------------------------------ イマジナルディスクという言葉がある 英語で書くとimaginal diskとなる 残念だが「それってiso形式?」というCDイメージではない これは生物学の用語なのだ イマジナルディスクと書くと響きは良い気がする 直訳すると「想像の円板」だろうか だが日本語訳すると「成虫原基」となる ぐっと現実的だ なんの成虫かといえば昆虫のこと 昆虫嫌いならこのあたりで読むのをやめるかどうか選択して欲しい 身近な昆虫といえばチョウだろうか ひらひら飛ぶチョウは昆虫の大人、成虫である その成長する前の段階がありチョウの前はさなぎ さなぎの前は幼虫 幼虫の前は卵である 卵>幼虫>さなぎ>成虫という段階で成長する このように段階をふみ成長する形式を変態と呼ぶ チョウのようにいもむしとさなぎを経て成虫になる形式 これを特に完全変態と呼ぶ 完全があれば不完全もあるわけで不完全変態というものもある 不完全変態はいもむしやさなぎを経ずに成虫になるもの 生まれたときの形をかえずに体が大きくなって成虫になっていく カマキリ、バッタ、ゴキブリなんかがこれにあたる 不完全変態では体のサイズは変わるが体の主なつくりは変わらない 頭はやっぱり頭だし足がはえかわったりしない 羽が大きくなったりくらいはするけれど 逆に完全変態では劇的に体の構造が変わっている 「わたしはまだいもむしだけどいつかちょうになるのよ。」 誰が言いだした言葉かわからないけれど いもむしからチョウになる間のさなぎのとき劇的に体の構造が作り 変わっている この体の劇的な構造変化に重要な働きをするのがイマジナルディス クなのだ イマジナルディスク自体は幼虫の体の中に既に存在している 成虫の頭、脚、羽といった部分に対してそれぞれイマジナルディス クがあり、さなぎのときにこの情報を元に成虫の体が作られる さなぎのとき幼虫であった体は溶けてなくなりイマジナルディスク を元に成虫の体へと作り変わっていく 脚がはえたり羽ができたり頭の形が変わったり 口の形も変わるので食べるものも変わる もうほとんど別のいきものといっても良い変化だ 葉っぱの上を這いずり回って葉っぱしか食べなかったいきものが空 を飛び回り花の蜜を吸う体へ 人間ではこんなことはおこらない おそらく人間は不完全変態なのだろう 自分の体の中に小さい大人の元があってあるとき寝ている内に全く の別人に生まれ変わる たぶん脳なんてのもなくなってしまうから記憶もなくなる それはちょっといやと思うか それもちょっといいなと思うかは あなた次第だ